はじめに2


手足のない姿は絵にする上でも影響してきます。
爬虫類の写真集は思いの外種類がありますが
どうもヘビの写真には皆さん苦労されているようです。
何せ絵になるパーツが少なすぎるのです。
トカゲであれば両手を踏ん張り、顔だけ他所を向いて
これだけで絵になります。
人にも手足があり、顔だけそっぽを向くことがあるのだから
見ていて感情移入もしやすい。



ところがヘビの場合は手足がない。
どちらを向いてどこに力が入っているかいるか分かりづらい体が延々続き
鎌首の先にある顔だけが、絵になる素質を持っています。
あまつさえ、顔がどこにあるか分からない時もあります。
様々なバリエーション誇るトカゲの写真に比べ
なんとも変化のつけにくいヘビの写真。
実際ヘビの絵を描きに動物園に行っても
何故かカメレオンやオオトカゲの絵ばかりが増えてしまいます。

この「パーツの少なさ」は裏を返すと
絵になりやすい、と言う性質も持っています。
例えば筆線一本、蛇のままに引けばそれで完成です。



こんなに簡単に描ける干支は他にないでしょう。
頭があって、長い胴体があれば
それで間違いなくヘビの形になります。

大きな口と、角にひげに、、と
多々の特徴を備えなければならなかった龍とは大違いです。
ですが勿論簡単な分、こつを掴まなければ
それはヘビではなくただの線に見えてしまいます。

ただの線ではなく、
出来るだけ簡単に蛇に見えるようにしたい。
それが「蛇の描き方」目的です。

ヘビをイラスト化する際には
他にも留意点が幾つもありそうです。
必ずしも現実の蛇に似せることが
イラストの完成に向わないことも多々ありそうです。
素材は実際のヘビから得ながら
現実にはいないファンタジーなヘビが求められるかもしれません。
嘘を描く上でも、蛇の形だけは嘘をつけないので
しばし蛇の世界に入りましょう。


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